渡部昇一の新世紀歓談 ゲスト:唐津一氏 1998.4.19 テレビ愛知
W:唐津さんは先月末までヨーロッパ連合の主要四カ国をお巡りになって来ら
れたそうです。いろいろ珍しいお土産話を聞かせていただきたいのですが。
K:今度はJETRO(Japan External Trade Organization;日本貿易振興会)に頼まれましてね、「なぜ、私が行くのだ」と聞いたら、「向こうのJETROの人達が大分自信を失っている」と、
W:日本からの話が悪いことばかりですからね。
K:それで「日本人を相手に話すのか」と聞いたら、「そうじゃない。向こうの連中だ」って言うんですね。およそ200人の人が来てくれましてね、四ヵ所廻ったお陰で、面白いことが一杯ありました。具体的に言いますと、今度廻ったのは最初イタリーへ行ってミラノ、ドイツのデュッセルドルフ、それからイギリス、ロンドンへ行って、パリへ行って帰った。そうしたら大陸側は皆、“アングロ・アメリカン”という言葉を盛んに使うんですね。
W:なるほど。イギリスとアメリカということですな。
K:何かというと、良い意味ではないのです。「あの連中のやっていることには付いて行けない」ということで、“アングロ・アメリカン”という。それで「ヨーロッパにはヨーロッパの良いやり方がある」という。話を聞いてみると、EUの通貨統合、あれにイギリスは外れましたね。あの理由が非常に良く分かりました。
W:ふーん。それで向こうの人達は“日本経済崩壊”のような話を聞くのだろうと思ったところが、唐津さんの話はそうでないですよね。
K:実はその通りです。というのは日本の経済の話はほとんど経済の専門家;エコノミストの話が伝わっている。ところがエコノミストという方々、こう言っては悪いんですが、お付き合いしているのが大体、金融・証券ですよね。これは駄目ですよ。
W:今はね。
K:ところが製造業は結構元気が良い。私はいつも言うのですが、金融・証券というのは規模が大体25兆円です。GDPが500兆円ですから、5%に過ぎない。ところが製造業は125兆円なんです。25%ある。で、「5%がガタだから、残り25%もガタか」と言われると、これは迷惑ですよ。そういう話をすると皆「なるほどね!」となる。
W:例えば具体的にどういうところが目立って日本の製造業の良いところです
か。
K:それは偶然ですけど、パリへ行きましたら、着いた日に日本から新聞が来まして、それを見たら鉄鋼5社の決算が出ていた。私は嬉しくなりまして、パリでその話をしました。5社のうち3社は非常に決算が良い。今年の3月ですよ。それで最高が新日鉄で、利益が1千億だと言うんです。しかも、研究開発費を560億円使っているというのです。この話をしたらフランスの連中、皆ビックリしていました。
W:一社で560億という研究費というのは凄いですね。
K:1年で使うのですからね。「365日で割っても、1日いくらだ」と話しました。
W:鉄鋼業というのは、「アメリカの鉄鋼業と言えども、日本の子会社みたいなものだ」という話を聞いたことがあります。技術的にね。
K:おっしゃる通りです。ガタガタになってしまいましてね、日本の会社がサポートしてまあ何とかやっている。
W:凄いですね。
K:そうですね。阪神大震災がありましたね。あのときに世界中の自動車会社
が泡食ったという有名な話がある。これは自動車のエンジンの中にバルブという部品がありまして、それを動かすスプリングがある。そのバルブスプリングが神戸製鋼所、ここで世界の7割を造っている。これが来なくなったら、エンジンが出来ないのですよ。こういう話というのは非常に地味だから、地震でもなければ分からない。そう度々地震があっては困りますけどね。その話をしたら、向こうの人も知っていました。
W:そういう例が日本では方々にあるでしょう。
K:そうです。そういう例を写真入りで持っていって話したのですが、そうすると
不況の話がどっかへ飛んでいってしまう。要するに技術をお互いにどう相互依存でやっていくか、という話になってしまうのですね。
W:例えば我々の常識では、イタリアというのは日本車を年間2千台しか入れないとか、物凄く日本を差別する国というイメージがありますね。ところがまた違った面があるのですね。
K:おっしゃる通りで、私、前にアメリカの雑誌でフィアットが新しい工場を建てて立ち直ったという記事を読んだことがあります。ところがよく聞いてみたら、何のことはない。日本の小松製作所、KOMATSUという会社があるでしょう。そこが
ボデーをプレスするライン全てをフル・ターン・キーで入れた。
W:それは全部そっくりという意味ですね。
K:いや、機械を全部ではなくて、人間の訓練まで。それで後でKOMATSUの人に聞いたら、粟津に1年くらい連れてきて訓練したのだそうです。
W:何人くらいですか。
K:300人とか言っておりましたね。
W:イタリア人の工員300人をそっくり連れてきて、KOMATSUから輸出する機
械に慣れさせるために訓練したのですか。
K:そうです。何のことはない、向こうの工場の中にミニ・ジャパンが出来たということです。
W:そうですね。簡単に言えば。
K:そうすれば日本並みに出来ますよね。
W:外から見れば、完全にイタリアの自動車だけれど、中身はミニ・ジャパンみたいなものですね。
K:それでKOMATSUの人が笑ってました。私、機械の図面を見せてもらいましたが、非常に良く出来ている。ところが工場が動き出したら、外部の人には全部(KOMATSUの人も)立ち入り禁止だって。それで笑っていました。要するにノウハウが漏れるのが嫌だってことです。やっぱり、ヨーロッパは自動車会社同士競争が厳しいですから。
W:それは日本が教えたわけですよね。
それから、これは前からその傾向が出ていましたけれど、造船がまた素敵に宜しいようですね。
K:そうです。造船は3年先まで24時間フル操業です。昼だけやったんではとても間に合いませんから。これはこの前、ソ連(ロシア)のタンカーがえらいことをやりましたね。油が漏れて。それもあったのですが、いまタンカーは二重底;これをダブルハブと言うのですけれど、それに切り替えるということで新しい注文がどっと来ているのです。
W:そうですね。他で造ってないですからね。
K:そうなんです。日本の造船所は皆ダブルハブをやっているのですが、会社によって全部造り方が違うのです。それぞれ固有の技術を持って、皆パテントで押さえている。なかなか他所は手が出せない。
W:それで働く工員は足りているのですか。
K:それは足りないですよ。そいうわけでして、造船は忙しいですね。この前、長崎にも行きましたし、岡山の玉野にも行きました。どちらもフル稼動だと言っていました。
W:それから去年、京都で地球を守る、地球に優しいような環境の世界大会が最初にありましたね。あれをなぜ日本で第一回の世界会議が開かれたかというと、日本がダントツに地球の汚染が少ないからだそうですね。
K:面白いですね。日本という国は「あれ駄目だよ」って言ったら、わーとやる方なんです。昔、公害が酷かった時がありました。ところが、あっという間に良くしてしまった。現在もああいう事がありましたら、最近私、日立造船へ行ったのですが、そこの売り上げの3割がゴミ焼却炉だって言うのです。「どうしてそんなものをやったの」と聞いたら、
昔の船は湯を沸かしてタービンで走っていたのですが、ディーゼルエンジンに替わってしまった。するとボイラーを造っていた連中が暇になってしまった。それでゴミ焼却炉をやりまして、しかもそれはダイオキシン対策が完全に出来ていて、そこから出てくる熱で電力を起こす。要するに発電所です。
W:発電までやるんですね。一石二鳥で。
K:そうそう。それで1セットが大体100億だって。
W:凄い商品ですね。
K:先ほど言ったタンカーは一隻が60億か70億です。だからタンカー一隻受注するより、ゴミ焼却炉の方が良いんだそうです。
W:なるほど。それに地球のためにも良い。それでまた、最近小さい焼却炉が悪いという話が出ていますが、その方の改善も進んでいるのでしょう。
K:そうです。僕が感心するのは、小さい焼却炉でもダイオキシンが出ないのがもう出始めましたね。
W:ああ、日本人らしいですね。
K:本当に手が早いですよ。それから微生物を使ってゴミを分解して肥料にするとか、そういう後始末産業というか、これが今大変な高度成長です。
W:輸出の方はどうですか。
K:やはり輸出もやっています。大きな発電所は海外に随分出しています。
W:そうでしょうね。アメリカは随分悪いし、中国はさらに悪いし、ヨーロッパも悪かったですからね。とくに東欧圏は酷かったですから。
K:まあ需要は無限にありますよ。向こうが公害を出してくれるほど、日本は輸出が出来るわけです。
W:そうしますと日本の工業は世界でこのようにユニークさを持っているわけですが、それがいつ頃からそうなったかというと、30年前の自由化、今で言うところの貿易ビッグバンですね。あの辺りからですかね。
K:仰っしゃる通りで、私はあの頃はメーカーに居まして、あの自由化では大変だったですよ。散々苦労したら、あのオイルショックが来ましてね、それが何とかなったら今度はプラザ合意で円がぼーんと上がるでしょう。だから日本の製造業は踏んだり蹴ったりで、ずっと堪え忍んできた。
W:それでどんどんどんどん強くなってきた。
K:それである時、経団連会館で日本側一人、アメリカ側一人で討論会をやっ
た。その時に貿易摩擦がテーマとして出ました。私の担当したのが貿易摩擦でした。アメリカ側の人が「日本の貿易黒字が進んだので円を80円まで持っていった。しかし貿易黒字はちっとも減らなかった」と言うんです。それで私は「当たり前だ。我々は80円対策ということで、死ぬ思いでやった。それがどうにか80円でもやれるようになった途端に120円となったのだから」。
W:物凄く儲かりますね。1万ドル輸出して80万円入るところが、120万円入るわけですね。
K:そうですよ。ところがそういうことは皆黙っているのです。言うこと無いですから。
W:それで今年の貿易収支はおそらく製造業中心として10兆を超えますよね。アメリカの方は15兆ほどの赤字ですか。すると25兆から30兆近い格差が毎年毎年、日本とアメリカの間で開いていって、その黒字国の日本がオタオタして、アメリカの方が元気が良いというのは大変皮肉な話ですな。
K:何かおかしいじゃないですか。
W:私はいま少し話が出ましたけれど、日本の製造業は貿易のビッグバン以
来、試練を浴びてどんどん強くなった。ところが金融を中心とする業界は護送船団方式でがっちりと護られて来たので、物凄くひ弱になった。それだけの違いではないでしょうかね。
K:まあそうだと思います。それとまだ不思議なのは、この前春闘が終わりましたね。毎年、春闘が終わると各社の賃金ベースだとか、賃上げ率が全部出るでしょう。あの中で銀行のリストが出るのを見たことがない。
W:それはおそらく、大蔵省の指導があったのでしょうね。
K:何か知りませんけれど、今年こそ出るのではないかと思いましたが、やはり出ませんでした。
W:それは本当のビッグバンになっていないんですな。
K:そうですね。だから私、2月くらいに皮肉を雑誌に書いたんです。「あの業界は製造業より賃金水準が2割から3割高い。しかし、もう持ちこたえられないから、下げざるを得ないだろう」ということを書いたたら、本当に下げはじめたみたいですね。
W:まあ重役の方は下がったというのが時々出ますね。
K:どうか分からないけど、春闘が終わって今でしょう。(銀行員が平均幾ら給料を貰っているとか、何%昇給するとかという数字は)出ていませんよ。このテレビ見ている方、探してご覧なさいよ。あの業界はまだちょっと違いますね。
W:私はビッグバンをやった製造業の強さとやらなかった金融業の弱さ、これを比べてみますと、どうもビッグバンをやるということは、「弱い企業は滅びなさい。強い企業は栄えなさい」ということですね。それが巧く働いて製造業の方は無類の強さになった。今度、金融業が直面するのは30年前の製造業だと思えばいいのですね。
K:そうです。僕は、日本人というのは結構教育の水準も高いですし、(金融業界でも)いざとなればやると思いますよ。
W:おそらくお役所の規制がある内は進歩しないですね。
K:そうです。言われた通りにやってればいいのですから。
W:潰れっこないところが司令するのだから、発想の元は潰れませんものね。
K:ところで、世の中「不景気、不景気」と皆さん仰しゃるのですが、結構売れているものがあるのですね。私がビックリしたのは、FM東京というFMの放送局がある。丁度今日、そこへ行っていたのですが、“見えるラジオ”というのがある。それはこんな小さなラジオですが、窓があって文字が出るのです。FMの電波にいろんな信号を載せて天気予報とかニュースを出すことが出来ます。このラジオが200万台売れたというのです。「何で売れたんだ」と言うんですが、最初はニュースとかそういうものをやっていて余り売れなかった。そこでいろいろアイデアを出して、最後にタレントが今どこを歩いているかという情報を出し始めたら、ぶわーと売れて、いま200万台になったと言うんです。
W:そういうものは妙なことで売れるもんですね。
K:そうですね。若い人は“見えラジ”って言う。見えるラジオですからね。これがブームになっている。
W:テレビでも電話でも発明する人は非常に真面目な意図でやるんだけれど、結局娯楽が突破口になって広がるんですね。
K:ポケベル、ポケットベルもそうでしたね。皆が何処に居るか連絡が直ぐ取れる。それで売れ出したんですね。
W:なるほどね。楽しくなければ駄目だってことですね。
それでその他、いろんな面でこれから伸びそうだというものにはどんなものがありますか。
K:先ほどの環境。これは非常に真面目一本槍のようですが、今仰った楽しむ機械が伸びていますね。例えばMD、ミニディスクというやつ、これがやはり二百何十万台売れたんですね。それからデジタル・スチル・カメラというフィルムのないカメラ。
W:そのカメラは革命ですね。カメラ革命ですね。
K:あれは何で売れたかというと、フィルムが無くて撮ったら直ぐに見られるのです。だから変な顔に写ってたら、消してすぐその場でまた撮り直せるのです。だから若い女性には持って来いです。いま一番お金を持って使っているのは、若い女性とお年寄りです。その辺を狙った商品はよく出ています。
W:なるほど。唐津さんは日本の大学で言えば春休みにヨーロッパにいらっしゃったわけですから、若い日本人女性の旅行者が随分多かったでしょう。
K:いやビックリしました。最初ミラノに飛んだのですが、ミラノのドームという大きな寺院があるでしょう。あのそばに宿を取りましてね。そこからグッチといブランドの店が近いのです。そこまでわーと日本の女性が並んでいる。
W:ミラノまで行って並んでいるのですか。
K:ツアーコンダクターの女性が居たので掴まえて、「このツアー、幾らくらい?」って聞いたら「10万円です」と言うんですね。それでミラノまで往復できるのです。それで土産を一生懸命買っているから、「あれどれくらい買っているの?」と聞いたら、「大体、一人30万円」だって。これには驚いちゃった。
W:こうなるとまあ並行輸入ですね。
K:ほんと。だから僕はこう言って笑ったんです。「成田から出る飛行機は旅客
機だけど、帰る飛行機は貨物機だ!」。
W:ワッハッハー。これはいい言い方ですね。
K:そんな調子で、とくにミラノはそういうことで楽しみました。見ているのが楽しい。見物人を見物しているわけです。
W:それから今、楽しい、有望なマーケットの一つとしてお年寄りと言われましたが、お年寄りでいまちょっとブレーキが掛かっているのは、金利が物凄く低いでしょう。だから年金と貯金した利子で、つまり年金で生活して貯金の利子で遊ぼうとしたお年寄りたちにブレーキが掛かっているのが残念ですね。
K:そうですね。だから、ただよく言われますように、個人はお金持ちなんですね。貯蓄が1200兆円といいます。それでよく見ていなければならないのは、今の不況の最大の原因は個人消費が冷えたからです。個人消費が大体260兆超ちょっとですかね。500兆円の経済で260兆といえば6割くらい。これが冷えるとえらいことになります。
W:それはそうですね。他のものと比べると、ダントツに大きいですからね。
K:大きいですよ。今度政府が不況対策でなんぼか出すと言っていましたがあれはGDPの12%ですよ。個人は60%。だから笑っちゃいました。一昨年でしたか、不況対策として政府が17兆円出したと言ったんです。その年のパチンコが30兆円ですよ。個人には、とても適わないのだから。
W:唐津さんは、個人消費を元気にさせるためにはどういう手をうったらいいと考えられるでしょう。
K:そうですな、やはり個人は気分ですよ。だから今も消費税をどうとか言われているけれど、政府から個人に元気を出させるような政策が出たのを聞いたことがない。公共投資がどうとか、インフラがどうとか、そんな話ばかりです。だから橋本さんは個人に向かって、「大丈夫ですよ。我々はそのためにこういう政策をやります」と一発ぶってもらいたいですね。そうすれば気分が変わりますよ。
W:「老後もそれほど心配ありませんから、いまあるお金はどんどんお使い下さい」と言うとかね。実際は使えるような金利にしなければいかんのですが。
K:でもね、アメリカはご承知のように年金問題は非常に巧くやっていて日本だけが巧くないですね。やはり年金のルールも変える必要があるでしょうね。
W:なるほど。そうすると、要するに今までやったのは、『不景気だったら公共投資』という素朴ケインズ論ですな、これは。
K:きわめて単純でね、そんなもんでないのですよ。
W:高橋是清の頃ならまだよかったのですが、いまは違ってきていますからね。不景気だったら、『個人消費をどうするか』というアイデアのある人を首相は自分の周囲において耳を傾けるべきなんでしょうね。
K:だから僕は政府の審議会のメンバーを入れ替えて、商売の名人を入れなければ駄目だと思います。そういう人は日本に一杯居るのですから。
W:政府の審議会というのは、これまた旧態依然なんですね。バブルを潰して
不景気だと言って騒いでいるのだから、「バブルを潰した時の税制をなぜ変えないのですか」と言ったら、ようやく分かったのは、バブル潰しのときの税金を入
れた人が同じ税調のメンバーになっているんですから。
K:懲りないですな。
W:懲りない面々ですな。それは戦争に喩えるなら、負けた作戦を立てた人をいつまでも使い続けるようなものですからね。
K:仰しゃる通りです。僕は日本で是非やって頂きたいのは、商売のベテランが居るわけですよ。そういう人を橋本さんのスタッフにして、商売の話ばかり聞かせたら良いんです。そうすれば、あの人だって頭は悪くないのだから、必ず変わると思います。
W:いま商売の名人を集めた首相顧問団というのは無いですね。
K:あまり聞いたこと無いですな。却ってそういうのは邪魔だって思うのかも知れない。嫌なことばかり言いますからね。
W:そうすると、商売の名人というのは必ずしも学歴はないし、うんと大企業で
なくても良いですよね。
K:そうそう。むしろ中小企業に素晴らしい人が多いですね。
W:中小企業の方は、常に潰れるということを眼前においてやっていますから、頭の使い方とか、対応の速さとか、これは学ぶべきことが首相にも多いのではないかと思いますね。
K:四国に女性の下着の通信販売で日本一になった会社があります。「なぜそうなったの?」と聞いたら、誰でも「あそこはサイズが豊富だ」と言うのです。大体の女性は標準サイズで間に合うのですが、ときどき不思議な体型の人が居て注文しても、ちゃんとそれが来る。これが通信販売だから出来る。注文が来てから作っても間に合うのだから。うまいことを考えたなと思いました。それで日本のトップですよ。
W:商売というのは、誰が教えるというものではなくて、才能が非常に必要ですね。しかも、これは学問的才能とか政治的才能とはまた違う才能ですね。商業の才能を活かすような政策をしなければいけないですね。
K:だからそういう才能のある方が大いに働けるような、税制にしても何にして
も、枠組みを造ってあげてほしいですね。
W:それで中小企業の方が、「自分が死んだらどうするか」というような相続税
ばかり心配しないで、仕事の方にもっとエネルギーが行くような、そういう税制も必要ですね。
K:そうですね。私はそっちの方、つまり経済を活性化している人達を大事にする政策、これをやってもらいたい。
W:そうです、そうです。ぶら下がったり何かするような人よりは、経済を活性化する人、支えている人ですね。
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渡部さんの最後の発言で“ぶら下がったり何かするような人”とは“公共投資を当てにする業界人”“公的資金の交付を受けた銀行”“地方交付税の申請に血道を上げる自治体”などを言うのでしょう。
政治家は次の選挙で自分に投票をしてくれる団体の機嫌を取ることが何よりも優先ですから、如何に素晴らしい提言を受けても「それをやるなら当選させてやる」という票の裏付けがなければ本気になれないのではないかと思います。
いずれにしても、「国の方向をリードすべき首相の首が県知事、市町村長より短い任期しか保証されないという政治システムを改訂しなくては、大局を見据えた政策運営はできない」と私は考えます。皆さんは如何お感じになりますか。
1998/4/24 kay
この番組がなくなって久しい。悪貨が良貨を駆逐するように、こういうよい番組
は低俗番組に駆逐されていく。それが残念でならない。
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